旧奈良監獄最後の見学会

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旧奈良監獄最後の見学会

旧奈良監獄は明治政府が監獄の国際標準化を目指して計画した五大監獄(千葉・長崎・鹿児島・金沢・奈良)の一つで現存している唯一のものです。

建物は美しい煉瓦建築として歴史的価値が高く、意匠的にも優秀と評価されています。
今後は外観を残しながら耐震補強や改装をし2020年をめどにホテルや資料館など複合商業施設としてオープンするそうです。

ロマネスク調様式の表門(正門)

設計は山下啓次郎氏で、明治・大正期の建築家です。
帝国大学工科大学(のちの東京大学工学部)を卒業し、司法省に勤めました。
1901年に欧米の監獄を視察し、帰国後の1907年に千葉、長崎、金沢の監獄を設計し、翌年の1908年に鹿児島と奈良の監獄を設計しています。
千葉監獄は正門と庁舎、長崎監獄は正門のみが現存しています。
金沢監獄は正門と中央看守所、舎房の一部のみが明治村に移築されて現存しています。
鹿児島監獄は正門のみが現存、旧奈良監獄だけが全て現存しています。
山下啓二郎氏は司法省を退職した後法政大学工業学校の校長に就任しています。

若草山から見た旧奈良監獄。
放射線状に伸びた5本の監獄が見えます。
近くには航空自衛隊奈良基地や法華寺があります。

とても美しい建築様式です。

中央看守所

ここから5方向に伸びた監房を全て見渡すことができます。

二階建で天井が開いていて開放感があります。

1613年(慶長18)奈良奉行所開設、その当時の場所は現奈良女子大学の敷地だったそうです。
1901年(明治34)に現在地に移転着工し、1908年に完成しています。
工事総額は30万円だったそうです。
2016年3月に耐震性などの問題により廃庁しました。

中央看守所を1階から見上げた様子。

天井も美しいです。

窓やドアひとつひとつがとても雰囲気があって日が差すとさらに綺麗です。

中央看守所の天井

八角系でとても綺麗です。

鍵もとても雰囲気があります。

このテープが刑事ドラマみたいでまたいい感じです。

共同室は原則として3人部屋でしたが4人ないし5人収容しなければならないときもありました。
トイレは区画されています。

狂操監

精神的に不安定になった人を収容する房。
一般居室棟から離れた場所にあり、精神不安定な人が発する騒音や大声の影響が一般受刑者にまで及ばないようにと考えられたものです。
懲らしめるためではなく、人権への配慮を考えてのことだそうです。

天井も木造で綺麗です。

収容人数は約700名で、近年では性犯罪の更生プログラムを実施していたそうです。
少年刑務所といっても受刑者は20代前半から高齢者まで収容していました。
プログラム終了者は元収容施設で刑期を務めたそうです。
職業訓練も行われていて全国8施設の一つに指定されていたそうです。
板金科、溶接科、建築科、農業科、ホームヘルパー科など16種目を実施していました。

監房の2階
カゴのような丸みを帯びていて雰囲気があります。

とても分厚い木のドアで木目がいい味出してます。

講堂のような場所です。
天井がとても迫力があります。

煉瓦造りが大変美しく時代をへて歴史を感じます。

ロマネスク様式とは中世西ヨーロッパの建築様式です。
おおよそ1000年から1200年頃までのゴシック建築以前の建築を指すそうで、同時代のビザンティン建築と同じく、教会堂建築において最高の知識・技術・芸術が集約されています。
だから教会っぽい雰囲気なんですね。

窓が多く清々しく美しいです。

医務所の天井も八角系です。

各部屋の窓がずべて違う形で雰囲気があります。

レンガと窓が綺麗です。
中央看守所の屋根も雰囲気あります。

こちらは女子専用で、裁判中の人を収容する居室です。
2017年5月末まで実際に使用していたそうです。

塀もレンガでとても綺麗です。
角が丸くランプも素敵です。

正門の内側

正門の内側

ヨーロッパの宮殿みたいです。

新しい時代へ

世界遺産が国内で一番多い奈良県ですが、その割にホテルが少ないです。
歴史的な建造物を残しながらの文化財ホテルは楽しみですね。

ホテルは独房2つを合わせて一部屋にし、ドアはそのまま利用するそうです。
敷地面積約10万平方メートルの中には新たなホテルも作り、カフェやレストラン、イベントスペースなども作られるそうです。
新たな観光名所になりそうで楽しみです。

カメラ:SONYa6000
レンズ:Vrio-TessarT*E 16-70m F4 ZA OSS

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